民法

物権の効力(優先的効力、物権的請求権)

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すべての物権に共通の一般的効力として『優先的効力』と『物権的請求権』がある。

優先的効力には、物権相互間の優先的効力と債権との関係における優先的効力とがあり、
この二つを分けて整理することが重要である。

物権的請求権については、その意義・種類を具体例とともにおさえておることか重要である。

各種の物権は、それぞれ持有な効力を有している。それらについては、後に個々の物権を取り上げた際に理解するのがよい。

それに対して、すべての物権に共通の一般的効力としては、『優先的効力』と『権的請求権』が挙げられる。


これらは、いずれも物権の直接的排他的支配性という持質から導かれる効力である。



●物権相互間の優先的効力

『物権相互間の優先的効力』とは、互いに相容れない物権相互間では、時間的に先に成立した物権が先するという原則である。


この原則の根底には、物権の排他性が前提として存在する。

ただ実際には、物権相互間の優先的効力』は原理原則に過ぎず、取引安全のため公示の原則が採用されている結果、優先的効力は、公示、すなわち、不動産では登記(177)、動産では引渡し(178)を先に備えた方が優先することになっている。

第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

第178条(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

【事例:不動産2重譲渡における優先的効力】AがX所有の家屋を買い受ける契約をし、代金を支払ったにもかかわらず、Xが同一家屋をさらにBに売却してしまったという場合、たとえAは先にXと売買契約を締結したとしても登記を得ていない限り、当該家屋の所有権取得をBに主張することはできす、反対に、後から売買契約をXと結んたBであっても、Aよりも早く登記を取得すれば、Aに対し当該家の所有権取得を主張することができる





●債権との関係における優先的効力

同一物について物権と債権が競合する場合には、その成立の前後にかかわらず、物権が債権に優先する。

ある物を所有者から借り受けた者と買い受けた者がいる場合、原則として買い受けた者が優先する(売買は賃貸借を破る)

なぜなら、物権が物を直接支配しうるものであるのに対し、債権は債務者の行為を介して間接的に物を支配しうるものにすぎないからである。

しかしながら、不動産賃借権の場合は、『

売買は賃貸借を破る』の原則の例外が認められている。


たとえば、Xが自己所有の土地をAに賃貸した後、当該土地をBに譲渡した場合、売買は賃貸借を破るの原則から、原則としてBの土地所有権が優先するが、不動産賃貸借については、債権のなかでも例外的に、物権に近い効力が認められており、登記等の対抗要件を備えれば、新所有者に対しても賃貸借を主張することができるとされている。

第605条(不動産賃貸借の対抗力)
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

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