公務員

河野太郎行革担当大臣の霞が関改革!霞が関の再生なくして日本の再生なし

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河野太郎国家公務員制度担当大臣の霞が関改革、若手の離職防止へ


2020年9月に誕生した菅内閣で、行政改革担当大臣に就任した河野太郎氏が、霞が関のブラックな労働環境の是正を主張しました。

「霞が関は極めて危機的な状況にあると言わざるを得ず、国家公務員制度に関しては前回も有識者にお集まりを頂いて少し改善をして行こうということをやりましたが、なかなか改善しきれてないというのが現実だと思います。

これだけ霞ヶ関を志望してくれる人が減り、またせっかく省庁で勤務をはじめた若い人がかなり早い段階で辞めたいという状況になってるというのは霞ヶ関が、極めて危機的な状況にあると言わざるを得ないと思います。

やはり給料はそんなに高くはないですけどもあの国のためにやりがい絵のある仕事を求めて若い人が来てくれて本当にやりがいのある仕事をやってもらうというのが大事だと思います。」

「いろんな霞ヶ関の若い人と話をしていると非常に無駄な作業やどうでもいいような仕事というのが多くてという声と、ここでずっと仕事をやっててこんな仕事をやってて自分が成長できるんだろうかという焦りのようなものが非常に強く聞こえてきます。

やはりそういう状況を一刻も早く改善をしていかないといけないのかなと思っております。

そういう意味でこの霞ヶ関のブラックな状況をなんとかホワイトかするということを優先順位高くに行っていかなければいかんと思っております。」

(河野行革大臣会見)


政治家と言えば、公務員をバッシングすることで、人気を得てきた歴史があります。

そんな中で、省庁のブラックな労働環境に政治家自らがメスを入れようとしているのは、画期的な現象です。

今回の新閣僚の就任会見は、22時50分から始まり深夜まで及び、河野大臣は深夜に行われた記者会見に関して、霞が関の働き方と絡めて苦言を呈しました。

新閣僚の記者会見へ臨むために、多くの省庁職員が深夜に及ぶ対応を強いられていたはずです。

通常、大臣が記者会見に臨む際には、会見用の原稿や説明資料を各元課で作成し、大臣にレクチャーします。

大臣に資料を届けるにあたって、当然に作成した原稿を幹部まで内部決裁する事になりますので、ひとえに大臣の会見と言っただけでも、職員にかかる負担は膨大なものです。

霞が関では、概算要求や国会対応などで、昼夜を問わず仕事をすることが常態化している実態は、今回の会見にも現れていました。

また、今回の河野大臣の発言の中で、若手官僚が早期に霞が関に見切りをつける要因として、「ここでずっと仕事をやっていて自分が成長できるんだろうかという焦り」の気持ちを挙げました。

中央省庁では、自分が一人の人間として、社会で通用するスキルが身に付かないのではないかという焦り。

組織にしがみ付く生き方ではなく、一人の人間として社会で通用するスキルを身に着けたい。

終身雇用が崩壊した今の若者ならではの真剣な悩みが、若手官僚から感じ取れる気がします。

















政治家が頑張れば頑張るほど国家公務員の業務は増加する


国会対応や議員対応で過酷な長時間労働に直面する霞が関の改革に乗り出した河野大臣。

脱ハンコやオンライン化、システム化の促進など、強力なリーダーシップでこれまで脈々と行われてきた非効率な業務改革に着手しているのは注目に値することです。

しかし、霞が関を中心とする中央省庁の激務と長時間労働の多くは、国会議員によってもたらされていることは忘れてはなりません。

国会議員からの質問主意書が、国会答弁書の作成で、国会開会中の深夜に及ぶ残業にを強いられているのは、紛れもない事実です。

また大臣の外遊や要人との会談、地方訪問の際には、多くの官庁職員が下準備や会見の応答要領の作成などで多大な業務に追われるものです。

今回、河野大臣が掲げた「脱ハンコ」により、押印が必要とされている行政手続きの洗い出し、押印の必要性の検討、押印を不要とする省令等の改正など、事務方に膨大な業務が発生するのです。

まさに各省庁のトップである大臣の一挙手一投足次第で、職員の業務量が大きく変わってしまうのが中央省庁です。

行政事務は、多少非効率でも、これまでやってきたやり方を踏襲する前例踏襲が、最も現場の負担の少ないやり方です。

これまでやってきたことを変えることが、もっとも大変な労力が必要とされるからです。

それでも、誰かが身を粉にして現状を変えようとしなければ、無駄で非効率な行政事務の実態は変わりません。

だからこそ、河野大臣の破壊力に期待したいものです。





勤務時間をハンコで管理するという馬鹿げた風習からICカードへの勤務時間管理へ


国家公務員の出退勤や勤務時間は、出勤簿や休暇簿なる書類に毎日押印して管理するという原始的な方法がとられています。

霞が関の過酷な勤務環境の実態と、実際に公表されている残業時間が乖離しているという問題が指摘されてきました。

そんな中、河野行革大臣は、「ICチップを搭載したIDカード」によってリアルな勤務時間を把握しようとしています。

表向きの勤務時間や残業時間ではなく、実際の職場に在庁していた時間やPCのログイン履歴で、リアルな勤務時間を集計するものです。

何をいまさら感が拭えない試みですが、逆に言えばそんな当たり前のことすらしてなかったとも言えます。

元々、官庁の庁舎への出入りの際にはICカード付の身分証が必要ですし、PCのログイン歴なども調べようと思えば調べられるはずです。

やろうと思えばできることを、改革派の河野大臣が声を上げるまでやらなかったことが、そもそも馬鹿げた話です。

働き方改革などで、残業時間にうるさくなったご時世では、実際には働いているのに意図的に勤務時間として計上しなかったり、残業の上限を超えないようにうまく調整したりしているのが常識です。

表向きの勤務時間と実際の勤務時間がズレていること自体、現場にいれば誰でも予測がつく話なのです。

それよりも、毎日押印することで勤務時間を管理しているなどという原始的な慣習が未だに続いていることです。

法令で決まっているから、今までそうだったから、という理由以外に続ける理由がありえない無意味な慣習を、永年誰も変えようとしなかったところに、日本の官僚機構の最大の問題点が垣間見られます。



若手公務員の離職と氷河期世代の新規採用


バブル崩壊によって就職難に陥ったロスジェネと言われる就職氷河期世代を対象にした国家公務員試験が行われました。

一方で若手公務員の退職者の増加が加速し、今後もこの流れは止まらないと想定されます。

終身雇用で定年まで勤めるという意識が希薄で、転職が当たり前となった昨今において、今後のキャリアを考えたうえで公務員を退職するのは自然なことです。

一人の労働者として成長できていると実感を求め、新たな活躍の場を求めて職場を離れていく傾向は、公務員いえども例外ではありません。

若手の離職を防ぐために、職場環境や勤務環境を改善しようとする努力はそれはそれでもっともなことです。

これほど転職が当たり前となった世の中で、若手が離職しないようにするだけでなく、外からの人材を積極的に活用することが必要になってきています。

民間からの中途採用を積極的に行い、官民の人材交流をより活性化させることで、官庁の閉鎖的で非効率な業務環境が改善できるはずです。

若手の退職を遺憾だと嘆くだけではなく、流動性のあり活気のある職場にしていく努力が、今各省庁に求められているのです。





20代の霞ヶ関のキャリア官僚の自己都合退職者数は6年前から4倍増


河野太郎行革担当大臣は、2020年11月自身のブログで「2019年度の20代の霞ヶ関の総合職の自己都合退職者数は6年前より4倍以上に増えて」いるデータを公表しました。

中央省庁のブラックな労働環境が話題にはなっているものの、公表されている統計からだけは窺い知ることのできない官僚機構の事態がどんどん明らかになってきています。

過酷な国会対応や、無意味で非効率な業務の数々と、前例に縛られた改革意識の欠如によって、国家公務員の将来は危機的な状況なのは間違いありません。

世代間構成にいおいて、元々少ない20代~30代の若手が次から次へと離職していく現実は、組織の継承・存続の面でも立ち行かなくなるはずです。

そして何も若手が辞めてしまう要因は、何もブラックな労働環境だけが原因ではありません。

定年まで同じ企業や組織で働くことに執着心のない若手は、その仕事を通じて、どんな汎用性のあるスキルが上がるのか、自分がどれだけ成長できるのかを強く意識する傾向にあります。

霞が関の中だけで通用するしきたりや、霞が関の中だけで通用する業務スキルを身につけたところで、自分の市場価値が上がるような成長は望めやしないでしょう。

だからこそ、はやく霞が関を離れて、自分が外の世界でどれだけ力を発揮できるかを確かめてみたいと切望しているのです。

学卒で就職した組織に定年までいることが常識とされる価値観は、すでに崩壊しています。

だからこそ、若手は組織に依存した働き方よりも、自らの市場価値を高めることができるフィールドで、成長したいと願うのです。



(問)大臣は、先日の御自身のブログで、若手官僚の自己都合退職が増えているということに言及されていましたが、これについての改めての問題意識と打開策などがありましたら、伺いたいと思います。

(答)やはり長時間労働と、それから仕事のやりがいの欠如というのですか、その2つだと思います。特に若手に関して言うと、志を持って入ってきてくれたにもかかわらず、国に関する実務というよりは様々なロジ業務になってしまっているというところがあろうかと思います。

 まず、長時間労働については、今、在庁時間の確認をしているところです。とりあえず10月、11月と思っておりますが、必要とあれば、これは続けていくことも考えなければいけないかと思っております。まず見える化を進めながら、必要な措置をとってまいりたいと思っております。

 また、仕事のやりがいにつきましては、今、霞が関の多くの若手のグループから意見や提案を伺っているところでございます。聞いてみると、確かにそんなことまでやらなければいけないのかというものがございますので、そういうものはまず1つずつ、つぶせるものはしっかりつぶし込んでいきたいと思っています。

(河野行革大臣会見(令和2年11月24日))




民間の有志団体による「霞が関の働き方に関する提言」


令和2年12月、株式会社ワーク・ライフバランスを中心に、各界の著名人らも名を連ねた「深夜閉庁を求める国民の会」は、霞が関の働き方に関しての提言書を河野行革大臣に提出しました。

その提言では、「各省庁の22時から翌朝5時は完全閉庁」とすることが掲げられています。

霞が関の過酷な長時間労働の主な原因は、国会対応と国会議員への対応であるのは周知の事実です。

国会の質問通告が前日の夜に行われることや、議員への説明要求は対面での説明とファックスという効率性の欠片もない時代錯誤な仕事ブリです。

そして、このような官僚の長時間労働は、膨大な税金の無駄遣いであるのです。

職員に残業代が全額は支払われていませんが、それでも102億円の残業代が支払われています。

何より深夜勤務によるタクシーで帰宅する場合の費用が22億円もかかっているのです。

実態としては、家に帰らないで職場に泊まる職員や、タクシー券の枚数制限で割あたらない場合もありますので、好き勝手にタクシーを使えるわけでは決してありません。

そのため実際のタクシー費用以上に、深夜勤務で終電を超えるのは日常茶飯事なのです。



表向きの残業時間である「超過勤務」の茶番を打ち破る在庁時間調査


河野太郎大臣は、霞が関などの中央省庁職員の在庁時間を、2020年10月~11月を対象に調査しました。

国家公務員では、残業代支給対象となる残業時間を「超過勤務」として表向きの残業時間としてきました。

「超過勤務」は、予算の範囲で支給される残業代を基準に減らされることから、実際の残業時間よりもかなり少なくなっています。

建前上の残業時間よりも、実態としての残業時間を把握するために実施されたのが、実際に職場にいる時間である「在庁時間の調査」です。

調査の結果、全職員で35%前後の職員が45時間超の在庁時間であり、100時間超の在庁時間を超えている職員は、全体で5%前後という結果になりました。

特に、キャリアと言われる総合職の職員や、若手ほど在庁時間が永い傾向も見受けられたのが興味深いところです。

100時間越がたった5%? 

中央省庁の現場実態を考えると、今回の結果が、実際より少ない在庁時間である気がしてなりません。

そもそも「超過勤務」など、基本的に自己申告に基づき集計されているものですので、過度な残業をしていることへの人事からのプレッシャーなどで、控えめな申告をする人も少なくありません。

さらに、残業代の予算の都合や、人事管理上の配慮から、申告された残業時間を上手く調整して、整理しているのが事態です。

それにもかかわらず、今回の在庁時間調査は、「自己申告」によって集計したと内閣人事局が説明しているようです。

なぜ、タイムカードなどで職場への出入りを自動的に記録し、在庁時間を算出できないのでしょうか。

自己申告を標榜する在庁時間調査など、調査自体の信憑性が怪しいと言わざるを得ません。

国家公務員の建前ばかりの勤務時間管理を正し、残業時間の実態を把握しようという試みは、素晴らしいものですが、調査結果の信頼性を担保せずには、意味のない調査になってしまうだけです。



政府の公表する統計表を機械判読可能なデータに統一


政府の公式統計を利用したデータ処理の効率性を上げるために、エクセルなどの表計算ソフト等の基礎データを機械判読可能な表記に統一する方針が打ち出されました。

人々の行動履歴や購買履歴などのビックデータを分析し、ビジネスに役立てられているように、大量のデータの処理や解析は現代社会にとって極めて大切なものです。

そんななか、政府が発表する統計は、信頼性の高い基礎データとして様々な研究や分析、評論に用いられています。

エクセルなどのデータを扱う際、無駄にセルが結合されていたり、余計なスペースが入っていたり、数字が文字列として記載されていたりすると、データを集計や処理の際に手間取ることがあるものです。

多くのビジネスマンであれば、データの様式が記載方法が不適切であるために、上手く数式やシステムが稼働しなく、困った経験をお持ちでしょう。

このような、データの集計やプログラムでの処理を行うために、データを機械判読が可能な表記に統一することは、極めて有益なことでしょう。

そもそも、役所というのは、有用性や2次利用性よりも、見栄えや決められた様式を遵守することに過度に神経質な傾向があります。

私が、とある官庁で働いていた時も、必要事項は漏れなく書いているのに、定められた様式と少し違うだけで修正させるような職員も少なくありませんでした。

そして書類の見栄えに過剰な拘りを示すあまり、余計なスペースや無駄な加工を施し、2次利用性を低下させる行為が良く行われていました。

大量のデータを効率よく処理するために、機械が認識しやすいデータを作成することが、今後益々重要になることでしょう。

「縦割り110番」にこれも寄せられていた、統計のデータ・フォーマットの統一を行うことになります。

今まで政府統計のデータ・フォーマットは、フォーマットがばらばらで、なおかつルールも明確でなかったので、研究者が複数の統計データを組み合わせて分析しようとすると、いちいちフォーマットを揃えなければいけない、あるいは、機械で読み込みができないなど、事前の処理に莫大な手間がかかっているということでございました。

総務省を中心に各府省と共同で統計の統一的なデータ・フォーマットについて検討を行って、事務レベルで各省協議会を行ってもらって、本日、決定いたしました。

元号のみで記載するようなことはだめと、元号を使っても良いのですが、その際は必ず西暦、または時間軸コードというのがありますが、西暦、または時間軸コードを別のセルに併記する。あるいは、数値データの中に、例えば1,000円というときに、「円」という単位を数字と同じセルに書かないとか、あるいは、1,000円と表記をするときにカンマを打たない。あるいは、マイナスを意味する「▲」を使わず、マイナスは「-」を使うとか、セルを統合してはいけないとか、非常に丁寧にルールを決めました。意見募集をしたところ353件の意見が寄せられましたので、それらも反映をして、本日決定いたしました。

武田大臣はじめ総務省の皆様に、迅速な対応を感謝申し上げたいと思います。統一ルールは原則として、1月から公表する全ての統計について適用されることになります。

ただ、既にもう業者に委託をして作業が進んでしまっているものについては、最初の発表は今やっているままになりますので、若干の例外はありますが、基本的に1月から公表される統計は、新しいデータ・フォーマットで行うことになります。

(河野行革大臣会見(令和2年12月18日))










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