憲法

憲法重要判例~団体とその構成員の人権に関する判例~

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三井美唄炭鉱労組事件(最大判昭43.12.4)

労働組合が、その団結を維持し、その目的を達成するために、組合員に対し、統制権を有する。

しかし、公職選挙における立候補の自由は、憲法15条1項の趣旨に照らし、基本的人権の一つとして、憲法の保障する重要な権利であるから、これに対する制約は、特に慎重でなければならず、組合の団結を維持するための統制権の行使に基づく制約であっても、その必要性と立候補の自由の重要性とを比較衡量して、その許否を決すべきである。

統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し、組合が所期の目的を達成するために、立候補を思いとどまるよう、勧告または説得をすることは、組合としても、当然なし得るところである。

しかし、当該組合員に対し、勧告または説得の域を超え、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分するがごときは、組合の統制権の限界を超える。

憲法第15条1項
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

立候補の自由

憲法15条1項は、選挙人として選挙で投票できる資格・地位である『選挙権』を保障したものである。

また、憲法15条1項は、この選挙権の反対の側面として、自らが選挙に立候補する『被選挙権』をも保証していると考えられている。

つまり、選挙権の保障と立候補の自由は、表裏一体の関係といえる。

憲法重要判例~団体とその構成員の人権に関する判例~

八幡製鉄事件(最大判昭45.6.24)

憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものと解すべきである。

したがって、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。

大企業の巨額の寄附による金権政治、政治腐敗等の弊害に対処するのは立法政策によるべきであって、憲法上は公共の福祉に反しない限り、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ない。

個人(自然人)がどんな政治思想を持ち、どの政党に献金しようと自由なように、民間の企業も政治的な自由を有しているとの結論です。

南九州税理士会政治献金事件(最判平8.3.19)

強制加入団体である税理士会が政党など(政治資金)規正法上の政治団体に金員の寄付をすることは、たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものであっても、税理士会の目的の範囲外の行為であり、寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の決議は無効であると解すべきである。

民間の企業とは異なり、強制加入団体の公益法人である税理士会が、会員から集めた会費を特定の政治団体に寄付することは認められないとの結論です。

国労広島地本事件(最判昭50.11.28)

いわゆる安保反対闘争のような活動は、究極的には何らかの意味において労働者の生活利益の維持向上と無縁ではないとしても、直接的には国の安全や外交等の国民的関心事に関する政策上の問題を対象とする活動である。

また、このような政治的要求に賛成するか反対するかは、本来、各人が国民の一人としての立場において自己の個人的かつ自主的な思想、見解、判断等に基づいて決定すべきことである。

そのため、組合員の協力義務については、組合活動の内容・性質、組合員に求められる協力の内容・程度・態様等を比較考量し、組合活動の実効性と組合員個人の基本的利益の調和という観点から、合理的な限定を加えることが必要である。

したがって、労働組合の多数決をもって組合員を拘束し、安保反対闘争活動への協力を強制することを認めるべきではない。

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