不倫をしたことで慰謝料を請求される?
結婚している人が配偶者以外の異性と関係を持った場合、慰謝料を請求される可能性があります。
不倫した場合の慰謝料請求は、主に配偶者以外の者と肉体関係をもった場合に認められ、単に食事などのデートをしただけでは不十分とされます。
配偶者以外と肉体関係を持つことを不貞行為と呼び、不貞行為があったかが不倫による慰謝料請求可否を決定づけるのです。
不倫による慰謝料請求は、民法709条にも続き行われ、不貞の相手方が婚姻関係について知っていたこと(故意)、または、知らなかったことについて過失があることが必要になります。
夫と通じた者に対する未成年の子の慰謝料請求権(最判昭54.3.30)
AB夫婦間には未成年の子Cらがいる。夫AはE女と肉体関係を結び、その後B及びCらと別居し、Eと同棲するようになった。
B及びCは、Eに対して不法行為に基づく慰謝料を請求した。
配偶者の一方が第三者と通じた場合、未成年の子は、不法行為に基づく慰謝料を請求することができるかが問題となる。
※慰謝料とは、
精神的な損害に対する賠償金のことである。損害には、財産的な損害と精神的な損害があり、民法709条によって賠償請求するのが一般的である。
民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
裁判所の見解(判旨):未成年の子の慰謝料請求は原則として否定
夫Aとの浮気相手のEは、妻Bへの賠償責任を負う
夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者(E)は、故意又は過失がある限り、配偶者(A)を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、他方の配偶者(浮気された配偶者)の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。
夫Aとの浮気相手のEは、AB夫婦間の子への賠償責任は負わない
妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持った女性が妻子のもとを去った右男性と同棲するに至った結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなったとしても、その女性が害意をもって父親の子に対する監護等を積極的に阻止するなど特段の事情のない限り、その女性(E)の行為は未成年の子(C)に対して不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。
『父親の不倫相手であるEの行為』と『未成年の子Cの被った不利益』との間には相当因果関係はない。
なぜなら、父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、自らの意思によって行うことができるのであるから、他の女性との同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被ったとしても、そのことと浮気した女性の行為との間には相当因果関係がないものといわなければならないからである。