〇民法561条には「前条の場合(他人の権利を売買の目的にした場合)において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。」と規定されています。
↓従って
他人の権利を売買の目的とした場合において、売主が当該権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、売買契約の当時、当該権利が他人のものであることを知っていたときでも、売買契約を解除することができる。
〇売買の目的である土地の一部に他人が所有する土地が含まれていたことにより、買主が当該他人の土地を取得することができなかった場合においては、買主は、売買契約当時、当該土地の一部が他人の土地であることを知っていたときは、売買契約を解除することができない。
民法563条1項には「売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。」、同2項には「前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。」と規定されています。
〇強制競売の目的である権利の一部が他人に属していたことにより、買受人が当該権利の一部を取得することができなかった場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。
「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」民法570条
〇強制競売の目的物に隠れた瑕疵があった場合において、買受人が売却許可決定がされた当時、当該瑕疵があることを知らなかったときでも、買受人は、当該瑕疵を知っていながら申し出なかった債務者に対し、損害賠償を請求することはできない。
「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」民法570条
〇民法567条2項には「買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。」と規定されています。
↓従って
売買の目的である土地に抵当権が設定されていた場合において、買主が第三者弁済をして当該抵当権を消滅させたときは、売主に対し、第三者弁済に係る出損額の償還を請求することができる。
↓しかし
売買代金が当該土地の客観的価格から当該抵当権の被担保債権額を控除して定められたとき、買主は売主に対し、第三者弁済に係る出損額の償還を請求することはできない。