民法

代位弁済者と抵当権者への配当(最判平17.1.27)

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■事案概要:複数の被担保債権のの優先順位

Xは、Aに対して3個の金銭債権(a、b、c)を有し、これらを担保するため一つの抵当権の設定を受け、またYは、a債権のみについて連帯保証をしていた。


その後Yがa債権の全額を代位弁済し、抵当権はXとYの準共有となった。Aが会社更生法の適用を受け、更正計画に従い当該抵当不動産が売却されたところ、売却代金がa、b、c債権の全額に満たないため、管財人は、売却代金をXとYの債権額に按分して弁済した。

Xは、Yに優先して弁済を受ける権利があるとして、Yに対し、不当利得返還請求をした。

民法第703条(不当利得の返還義務)
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

■問題の所在:債権全額の弁済に足りないときの配当


抵当権の複数の被担保債権のうち一つについて保証人から全額の代位弁済がされ、抵当権が債権者と保証人の準共有となった場合、抵当不動産の売却代金が債権全額の弁済に足りないときの配当はどうなるか。

■結論:債権額に応じて案分して弁済を受ける


抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには、債権者と保証人は、上記売却代金につき、債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受ける

■判旨:債権者と保証人は、債権額に応じて案分して弁済を受ける


不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し、そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合は、当該抵当権は債権者と保証人の準共有となり、当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには、債権者と保証人は、両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての特段の合意がない限り、上記売却代金につき、債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受けるものと解すべきである。


なぜなら、この場合は、民法502条1項所定の債権の一部につき代位弁済がされた場合(最判昭60.5.23参照)とは異なり、債権者は、上記保証人が代位によって取得した債権について、抵当権の設定を受け、かつ、保証人を徴した目的を達して完全な満足を得ており、保証人が当該債権について債権者に代位して上記売却代金から弁済を受けることによって不利益を被るものとはいえず、

また、保証人が自己の保証していない債権についてまで債権者の優先的な満足を受忍しなければならない理由はないからである。

民法第502条
① 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使する。
② 前項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。

債権の一部について代位弁済をした者は、債権者の権利が可分であれば、債権者とは別個に弁済した価格に応じて権利を行使できる(大決昭6.4.7)。債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する(最判昭60.5.23)。

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