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不動産投資って儲かるの?

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不動産投資は、家賃や地代収入などのインカムゲイン(権利収入)と、将来の売却によるキャピタルゲイン(売却益)を目指すものである。


これらの収人が得られる一方で、不動産の取得費などの初期投資にかかる資金や、保有に際しての必要経費、収益が出た場合の税金の負担などがかかるため、これらを総合的に判断して、その投資が魅力あるものかどうか(=利益(※)がでるか)をしつかりと見極める必要がある。

※『利益』と似た言葉に『収益』があるが、『収益』から費用を引いたものが利益であり、両者は明確に意味合いが異なる。例えば、商品を50円で仕入れて、100円で売却した場合、『収益』は100円であるが、『利益』は「100円(売価)-50円(仕入費用)-その他費用」となり、100円よりも少なくなる。なお、その他費用とは、商品を販売するにあたって生じた人件費や、水道光熱費、商品の保管費用などなど、付随的に生じた費用であり、状況によって異なる。

■不動産投資では収支がプラスになることが最重要


不動産投資の収支を考える際、現金べースで、収人金額から支出金額を差し引いて計算されるものを「収支」といい、こには借入金の元本の返済や支払う税金の額などが含まれる。

また、税額を算出するために、収入金額(益金)から必要経費を差し引くことで計算されるものを「所得」といい、建物の減価償却費のように、お金が出ていかない費用がある反面、借入金の元本の返済(※)のように、お金は出ていくけど費用にならないものがある。

※借入金(借金)は、会計上「負債」に分類されているため、借入金の返済は、負債の減少として処理され、「費用」ではない。

■表面上の数値に騙されないためには、不動産投資の利回り計算を理解すること


不動産投資の採算性を分析するために利用する指標として、投資利回りの概念が重要である。表面的な収人などを元に計算する方法や、経費などをすべて考慮して計算する方法、また、単年度の収人のみから計算する方法もあれば、複数年にわたる将来の収益も考慮して計算する方法もある。

以下では代表的な利回り計算を解説しよう。

●表面利回り(投下資本総収入利回り)



総投下資本に対する年間収入の割合を示したものであり、最も簡略化された利回り計算である。分子の『年間総収入』は諸経費などが一切考慮されておらず、実態より高めの利回りが算出される。

●純収益利回り


総投下資本に対する純収益の割合を表したもので、表面的な収入から、必要経費を差し引いた純収益を分子として算出するため、より現実的な利回りが得られる。

●キャッシュ・オン・キャッシュ


自己資本に対する現金手取額の割合を表したものである。

これらの利回り計算の際、実際の投資額である自己資本や借入金を分母に据えるが、自己資本に加えて借入金を組み入れることにより、より収益率の高い投資が可能となる。

借入金を使って投資する際には、投資対象となる不動産の期待収益率より低い利率で借り入れることが重要となる。

このように借入金を利用することで、自己資本以上の資金で投資効率を向上を図ることをレバレッジ効果と呼ぶ。

レバレッジは、てこの原理に例えられ、成功した時の利益も増大する一方で、失敗した際の損失も増大するため、高リスクな投資ともいえる。











<例1>自己資本100億円で取得した100億円のビルに年間10億円の賃料がある場合

賃料の10億円は自己資本に対して10%(10億/100億)なので表面的な利回りは10%


<例2>自己資本50億円+借入金50億円で取得した100億円のビルに年間10億円の賃料がある場合、借入金の金利が4%とすると

2億円(50億×4%)の利払いが発生

賃料の10億円は自己資本に対して20%。

借入金の2億円を支払ったとしても表面的な利回りは16%(8億/50億)となる

■投資価値の評価

投資価値の評価とは、投資対象として検討している不動産が生み出す収益などから、投資対象不動産を評価する手法である。


●DCF法

DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法とは、不動産から得られる各年度の純収益と、その不動産を将来売却する時に見込める価格を、期間に応じて現在価値に割戻し、これらの合計を不動産の収益価格として投資価値の判断をする手法である。

●正味現在価値(NPV)法

NPV(Netpresentvalue)法とは、不動産から得られる各年度の純収益と、その不動産を将来売却する時に見込める価格を期間に応じて現在価値に割戻した金額から、自己資金の投資予定額を差し引いた正味現在価値により、

収益性を判断する手法である。正味現在価値の額が大きいはど投資価値は高い(=採算性が高い)ということになる。

●内部取益率(IRR)法

内部収益率(IRR : Internal Rate of Return)とは、各年度の純収益と、保有期間終了時の売却による収入を現在価値に割り引いた金額と、初期の投資予定額が等しくなる収益率のことである。
この内部収益率によって投資価値を判断する方法をIRR法といいます。内部収益率が期待収益率より高ければ投資価値があると判断される。

●借入金償還余裕率(DSCR)

DSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)とは、借入金に係る年間の返済額に対する投資不動産からの純収益の割合を示すもので、借入金に対する返済力をみることができる指標である。この数値が大きいほど、返済に余裕があると判断される。

■不動産の証券化


不動産の証券化とは、現物の不動産を担保とした証券を発行して、その不動産から発生する家賃などの収益を投資家に分配する手法のことである。
不動産証券化の代表的なものとして、不動産投資信託(J-REIT)がある。投資信託には契約型と会社型がありますが、日本の不動産投資信託では会社型(投資法人型)が主流となっている。
会社型投資信託は、投資法人を設立し、投資証券を発行することによって投資家から集めた資金を不動産に投資し、その成果を投資家に分配するしくみである。

REITは、東京証券取引所に上場されているため、いつでも時価で売買することが可能である。また投資家は、少ない(=小口)負担で不動産投資が可能となる。

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